陰陽師 霊視(二)

陰陽師 霊視(二)

いくら説明されても、私には、霊などみえないから、別の世界の話し、半信半疑で説明を聞いていた。

「ご主人の生年月日を教えてください。」

「19○○年○月○日です。」

「ご主人は、土!ですね!」

「だから、何でも吸収してしまうのですねえ?」

「あ、そうですか!」

その時、

「ガラガラガラ!」
妻が、扉をあけて部屋に入ってきた。

「コーヒーどうぞ!」

彼は、軽く頭をさげた。

「やっぱ、憑いてたって!」
私は妻に話しかけた。

「何が?」

「お兄さんの霊?」

「そう、それと、自殺者の霊も!」

「えっ? それは恐いね~!」妻と会話をしていると、

「ご主人には、後、生霊がついてます。」

彼のこの話には、私も妻も、思わず絶句してしまった。

生霊といえば、一番恐いと言われているのは、TVなどのマスコミや人の口から直接聞いた事がある。

「奥さんと出逢う前に知り合った女性が、ご主人と結婚したくて、したくて、たまらなかったようですね?」

「…」

妻と顔を見合わせ、双方とも言葉にならなかった。

「羨ましい事です。」

「ご主人は優しい人のようですから?」

妻には疚しい気持ちはない!

付き合い始めた頃には、数人とつきあった話しはしていたし、ましてや、女性を裏切ったりとか、苦しめた事など一度もなかったし…

「その女性は今でも、私の事を?」

「いや、念だけ残ってます。」

「うーん? Mというイニシャルの女性ですね?」

M? 色々思い出してみるけれど、Mというイニシャルの女性は思い浮かばない。

「いやあ、心当たりはないですね!」

「その女性は、あなたの側にいたのに気づいてくれなかったって、言ってます。」

益々、思い当たる事はない。

「出逢ったといっても、付き合ったという事でなく、ただ、ご主人をじっと見ていたようですね!」

もう一度、自分の記憶の中を辿ってみた。

20才の時、ある女性と付き合い始めたが、その3ヶ月後、私の父が亡くなった。
そういった事もあり、だんだんと会う機会も減り、結局はふられてしまうこととなった。
そして、翌年、父の死というものの傷の癒えた頃、違う女性と付き合い始めた。
しかし、その彼女との交際から2ヶ月後、今度は母が亡くなっている。

そしてそれがきっかけで、その彼女とも疎遠となり、自然と消滅していった。

後は、高校時代からの女性の友達と考えてみれば、全て、私の男の友達とつきあい、そしてそのまま結婚してるし?

この時、妻が
「木原さん? このまえいらっしゃったときに、お養母さんが来ていましたよね?」

「はい!」

「今日は?」

「今日は、いらしてないですね。」

「あの日、お養母さんは、何故、来ていたのでしょう?」

「先ほど、ご主人にはお話ししたのですが、ご主人の守護霊は、神様です。」

「はあ?」
妻もビックリした顔をしている。

「奥様のように、ご先祖様が守る事が出来ない、悪い霊が憑いているので、当然神様がおつきになるのですが、お養母さまは、まだ、日が浅く、修行が足らないし、私との話が出来ないのです。」

「だから、リビングでじっと待ってたのですか?」

「でしょうね?」

「ご主人が、霊をいつも連れて歩いてるって、言いたかったけれど、私に伝えられないから、じっと、お座りになったままだったのでしょう。」

「そうなんですか?」

妻も納得したような、してないような、どちらともいえない顔をしている。

「うーん?」

「いくら考えても、思い浮かびませんね?」

「それよりも、生霊は、ありがた迷惑な話ですね!」

「妻には、普段から、俺はもててたんだよ!と言ってましたが、まさか生霊が憑いてるとは?」

「それに、ちゃんと言ってくれれば、こんなことになってないのに?」

「いや、それでも羨ましい限りです。」

私より、年齢はひとまわりも下くらい、丁度30歳くらいの彼は、妻の手前、上手に褒めてくれているようだった。

「ご主人は、誰かに連れ去られそうになった事がありませんか?」

「あります。」

せっかく、褒めてくれたのに、急展開のこの話は、私の人生の中で、一番嫌な思い出であった。…