陰陽師 陰陽師の場合

陰陽師 陰陽師の場合

「バイクに乗ってまして、事故を起こしてしまったんです。」

「3日間くらい意識がなかったようで、その時に、丁度、例の川を渡ってまして、ご主人と同じように、家族の声で、この世に呼び戻されました。」

「…」

「意識も戻り、3ヶ月のリハビリの後に、退院してから自宅に帰った夜。」

「ちょっとした、異変がありましてね…」

「私のお腹とかひざに人の顔がへばりついてるように思えました。」

「頭がイカレタかな? と、初めは思いました。」

「こうしてですね。」

彼は、身振り、手振りでひざについたものをはがす動作をしている。

「ベリベリベリと、人の顔がはがれた感覚が体に伝わってきました。」

「しかし、その顔は、また、張り付いてきましてね!」

そうして、眠れぬ夜を過ごした翌日に、病院に診断書をいただきに行った所、来院している他の患者さんや、その付き添いしてる人に憑いてる霊が見えましてね!」

「あっ! 私は霊が見るようになったんだ!と、この時に思いましたね。」

「でも、人に話すと?」
妻が聞いた。

「はい、ごもっとも、確かに見えない人には中々信じてもらえませんね!」

「それに、見えなくても、見えたとか言って犯罪を起こしている人もいますから、
尚更ね!」

そう言えば、刑法では、霊の存在は全く否定している。

「キツネ憑きとかも信じてもらえないですからね!」

「うーん?」

彼は、黙り込んだ。

「普通、動物の霊は人には憑依しないんですよね!」

「あれ? 雑誌やなんかで見たことありますけど?」

「最近は30万円で陰陽師になれるとか、通信教育のちらしを拝見しますが、
あれは、嘘ですね!」

「昔は、国家公務員とかの要職でしたが、科学的に説明出来ない世界、特別な能力が備わらないと、勉強だけで、他人の人生を狂わす結果になっても責任は取れないでしょう?」

「そうですね!」こう答えるしかなかった。

「私も、神教や仏教の本を読み漁ったのですが、中々、除霊の方法について、その教えを説いた書物は、なかったですね!」

「そして、ある人の紹介で、この陰陽師の陰陽道に辿りつきました。」

「除霊の方法も、呪文もこの陰陽道で習得しました。」

「だけど、霊の中には早く除霊をしてもらいたい霊もいまして。」

「…」

「それに、こうして霊が憑いている人と話していると、こちらにも妨害をしてくるのですよ!」

「来るな! 来るな!と、病気にさせようとしたり、危ない目にあわせようとしたり…」

「ご主人のように、私が来る事を察知して、私とあわせないように出かけるときについて出かけたりして…」

「私も、まだまだ、勉強中でして、今もこうして無料でご相談に乗らせてもらってます。」

「そうなると、かなり疲れますね?」

「その通り、心労は耐えませんね!」

ここで思い出したのが、隣の奥さんのことである。

今は、引っ越されて隣には住んではないが、引っ越した後に妻から、
「あの奥さん霊が見えてたんだって?」と聞かされたことがある。

妻の言うには、奥さんには昼夜を問わず、私の家の上空や、自宅の周辺を憑依している霊がたくさんいるのよ~?と、話していたらしい。

妻が気色悪いと言うと、

「大丈夫! 悪い霊じゃないから、そして、この辺りは通り道なんだろうね!」と、軽く答えていたらしい?

考えてみると、その奥さんは、私とは世間話はするけど、ふと避けていた事があったなと思うのは、やはり、私にとり憑いていた霊に気づいていたのかもしれない?

「ご主人、交通事故の話しを聞かせてもらえませんか?」と、彼が聞いてきた。

「ん~? たくさんありすぎて、一体どれを話せばいいのか?」

「一番、印象に残っているのはどれですか?」

「うーん、そうですね…」

「海に落ちた車ですかね?」…