アキラ No13

アキラ No13

「うはあ~、こりゃあ、大変だぁ~。」
思わず口に出た。
唯は、大学の3回生で、同じ大学の男と同棲していたが、半月前に破局となったらしい。
このアパートは、その男が借りたもので、そこに転がりこんだようだ。
その日にその男の姿はなかった。
綾と琴美も来ていて、小物の整理を手伝っていた。
俺と琢己は、ドレッサーと小さなファンシーケースを運び出しトラックに積んだ。
しかし、唯の部屋には大物の家具がひとつあった。
それは、セミダブルのベッドだった。
本体は分解出来るが問題なのは、2枚ある大きなマット。
解体した本体を先に降ろし、問題のマットは、男2人と、女3人で、魔の階段を30分もかけて降ろした。
——-<回想>—-
「はい、じゃあ、そういうことで。・・・」
「アキラさん、来週火曜日リザーブしたよ!」
香が言った。

「OK!」
女性はこんな予約をするのは早い。
仕事にも同じような意欲があればいいのにと思った。

美里を見ると、黙っている。
「美里さ~ん?」
「どうしたのですかあ~?」
「俺をえっちだと言ったけど、美里さん、俺と何かしてるの想像してるんじゃないの~?」
「妄想族は危険ですよ~。・・・」
今度は静かになりすぎたのが淋しくなり、美里に言った。
「違うもん、そんな妄想みたいなのしませんよ~だ。」
「アキラじゃあ、あるまいし。・・・」
美里はハッとしたが、反発してきた。
「そうそう、怒った美里さんも可愛いですね~。」
「そう、私可愛い?・・・」
「よく、言われるの、君の怒った顔もいいんだろうな~って。・・・」
今度は美里の夢見る少女のスイッチに触ったようだ。・・・
元気になった美里は香とその店の話で花が咲き出した。

(つづく)…