陰陽師 番外編 あの時も...

陰陽師 番外編 あの時も…

「ねえ、お父さん、あれからどうなの?」

「うん、あれから、変な夢も見ないし、変わった現象がなくなったよ。」

「ふ~ん、そうなの。」
「やっぱり、見える人っているのね?」

「う~ん? まだ、どうとも言えないかな?」

「でも、色んな事を経験してたのね。」

「うん。」
「頭がおかしいとか、思われるので黙ってたけどね。」

「でも、それだけで、あんな恐いめを経験するとは。」

「あれだけじゃないよ。」
「もっと、沢山あったけど…」

「えっ?」
「じゃあ、あれって一部なの?」

「うん、そうだなあ~?」
「こういったものもあったなあ~。」

こうして、不思議な経験を妻に話す事になった。

あれは、小学生の時だった。
「学芸会のとき、俺のマスクだけが無いんだよ。
上級生達が運んできたのに、俺のだけが見当たらない。」

「あ~あ、まただ…」
その時は一瞬そう思った。

「で、どうだったの?」

「うん、ギリギリ間に合ったけどね。」

「そんな事って、あたしも経験したことがある。」

「ねえねえ、じゃあ、大蛇が目の前にって事はなかった?」

「大蛇って、青大将とかって事かな?」

「そう、だからこの辺りでは、それを大蛇って言うじゃない。」

「そうだなあ~、アナコンダは最近ペットで飼われてはじめたから、そうなるかな?」
「うん、あったよ。」

「しかし、それは、目の前でなく、友人の家の庭先でね。」

「目の前に落ちてきた?」

「違う違う。」
「友人ちの犬がワンワンと吠えるから、外に出たら、とぐろを巻いていたんだ。」
「それで、その近くにあった竹箒で。」

「竹箒で?」

「そう、その竹箒で、初めはこちらが威嚇したんだ。」

「威嚇?」

「そう、威嚇でいいと思うけど?」

「・・・」
その時の光景をゆっくりと思い出していた。

その時に、とっさに手にしたのが竹箒で、その柄のほうを、その大蛇に向けて、スッと
突き出したのである。

「で、その大蛇は?」

「そりゃあ、当然のように、カマクビをあげて準備してて。」

「準備してて?」

「そう、柄をスッと突き出した、瞬間、その大蛇も口を開いた上体で、ガバッとこちらの手元に向かってきた。」

「まあ、恐い。」

「うん、一瞬ヤバイなあと、恐怖を覚えた。」
今でも、その大蛇の紋様はしっかりと記憶に残っている。
そして、その太さも、その長さも…

小さな蛇であれば、こんな事は、決してしていなかった。
しかし、この大きさは尋常でなく、何故か、そういった行動を取っていたのだ。

「で、それからは?」

「うん、そういった動作を数回繰り返していたときに、友人が、その大蛇の背後に身をかわして、その大蛇の上に被せたんだよ。」

「被せた?」
「何を被せたの?」

「う~ん?」
「そのものは覚えていないんだ。」

「まあ、そのものはいいから、その続きを話して。」
といった妻の話を聞きながらも、その被せたものを必死で思い出そうとしていた。

「お父さん?」

「ん?」

「どうしたの?」

「ああ、ちょっと、そのものを思い出そうとしていたんだ。」
と話した瞬間、そのものが、砂などを篩う、篩いであることを思い出した。

「そうそう、篩いだった。」

「篩いって、あのケーキを作る時に小麦粉を篩うもの?」

「そうそう、庭掃除等でも落ち葉とかを集めて篩う、その篩いだよ。」

「ふ~ん。 で?」

「でって、いったって…」
その後の状況を思い浮かべていた。

「それで、その状況が変わったので、その竹箒を使って、上から押さながら二人でどうしようかと考え始めたんだ。」

「そのままの状態で、友人か自分のどちらかが、そのままスライドさせていこうか?」
「それとも、何か他に方法はないのか?」
「また、この被せた篩いを外して、他所へ追いやるかって…」

「で、出た結論は?」