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「だからあ、彼女と話してないんだから、何もあるわけないじゃん。」
「そうでなくて、お父さんが、彼女の気を引く行為をしたかって事よ。」
なるほど、妻はそっちの事を聞きたかったのか...
しかし、思い起こしても、そんな仕草をとった覚えは、俺には全くないのだが?
「う~ん?」
その時の記憶を古い書庫から読み出してみた。
「お父さん記憶力いいから覚えてるんじゃないの?」
そう、俺は左利きだから、その場所、その状況等を8割近い確立で覚えている。
これは、アニメの探偵Qのあの少女のような能力で、よい事もよくない事も記憶に留める変なものを持ち合わせている。
しかし、それはそれ、よくない事はそんなもんだろうな?といった、感覚なのである。
「あったような、ないような?」
「ただ、彼女と初対面の時に彼女をじっと見て挨拶したくらいかな?」
「それよそれ。」
「オンナって、そんなに見つめられると、簡単におちるものなのよ。」
「おちるって、ただ、それは相手の目を見て話すっていうのが、俺にはあるんだ。」
「これって、俺だけじゃなく、他にも沢山いるけどな~?」
「ううん、そんなに見つめられる事が無い女性なら、勘違いするかも?」
「そうかあ、勘違いさせたのかな?」
「そういえば、彼女に悪いような気もするけど。」
「ガタッ!」
妻の背後で、物が落ちたような音がした。
「ごめんなさい!」
妻は、真っ青な顔をして謝った。
「ほら、除霊は出来ても、まだ、この近くにいるんだよ。」
「はい、わかりました。」
しかし、この現象は、その生霊として俺に憑依していた彼女のものではなかったのは、後にわかったのだった。
「俺の後ろに居る人知ってるよな?」
「うん、出雲の神様。」
「じゃあ、出雲の神様の代表的な話は?」
「う~ん?」
「スサノオノミコトはあ。」
「八岐大蛇を退治して、その後、そこの娘さんと結婚してえ。」
「で、そのスサノオノミコトの子孫は、大国主命でえ、因幡の白兎を助けてえ。」
「いや、その話でなくて、スサノオノミコトは何故、出雲の国に往ったのか?」
「それは、天照大神の邪魔ばかりしてえ、で、国外追放されたんじゃないの?」
「そう、彼は、トリップメーカーだったってわけだよな?」
「うん、確か最近では、よく、そういわれるみたいね?」
「でも、トラブルならわかるけど、トリップって何なのかな?」
「トリップというのはあなあ。」
どの言葉で説明するのか、ちょっと難しい。
「電気の話を例えにするけど、電流が一定に流れているとすると、その電気が流れる形は直線で。」
「わかった、直流は直線ね。」
「うん、その平行に一線をず~っと、引いていく。」
「これが、平常な状態なんだよ。その場所場所では。」
「しかし、この電気が流れるということは、抵抗というものがあってえ。」
「習った習った。」
この説明が妻には、よくわかるようだ。
「で、この抵抗が大きくなると?」
「えっとお~?」
「まあ、いい。」
この説明では、話がそれてしまいそうだ気がしたが?
「で、抵抗が大きくなると、電流は小さくなる、そうなると...」
「電気機器の負荷が大きくなるので、そこで電気が流れなくなるんだ。」
「となると?」
「そう、今まで一直線に平行に流れていたものは、そこで、ドンッ!と、下降するんだ。」
「・・・」
妻は、この話に興味があるようだ。
「この今まで一直線に流れていた、この電気が下降する、この状態をトリップっていうんだ。」
「ふ~ん?」
「あっ! もちろん、この電気が流れる最初は緩やかに上昇するんだけどな。」
「これを起動電流といって、急激に流すと、このトリップという現象に導くからなんだけどな。」
「これを、上司がだとか、親だとかが気負いして、グンッ!と、テンションを上げると、周りに迷惑をかけるだろ?」
「じゃあ、トラブルメーカーも一緒じゃない。」
「うん、確かにそうなるけど、でも、これはトリップだから、うまく流れているものが...となるものを言うんだよ。」
「それに、雷が落ちると、その場所の運気が上がるって聞いた事ある?」
「いや、知らないわ。」
「そうかあ、でも、よく考えてごらんよ?」
「その場所と考えると、まず、高い場所だろ?」
「うん、でも平野にも落ちるじゃない。」
「そう、それもあるけど、落ちよう落ちようとするのは、我慢の限界もあれば、その場所に、そういった要素があるんだ。」
「でも、お父さん、そんな話をよく知ってるわね?」
「ああ、電気のアースは地絡という役目も持っている。」
「ちらく?」
「地中に絡めるで、地絡。」
「不安定な直線であるがゆえに、通常流れていた電気のありあまったものが、ドンッ!と落ちる。」
「すべては、そのトリップメーカーだけのせいじゃないんだ。」
「雷様も、競合した条件の中でその場所にって、なるんだ。」
「ん~ん?」
「だから、その場所に行くのも神様の仕業もあるけれど、神様がその場所に行って、その状態を回避させなよって。」
「そんな大きな役目を担っている場合もある。」
「だから、彼女はそういったものに感覚が鋭く研ぎ澄まされていたんじゃないかな?」
「そうかなあ?」
「って、俺に何かの暗示があったのかもしれないけどな?」
「それがわからないんだよね?」
「だからあ、出雲の神様の話を思い出してごらんよ。」
「あっ! 縁結びだ。」
妻はやっと、その事に気づいてくれた。
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