陰陽師 番外編 全ては霊の仕業?vol-4

陰陽師 番外編 全ては霊の仕業?vol-4

おかしい?
何故?
何故?こんな場所を走っているのだろうか?
それに、この電線の揺れは地震なのだろうか?

ふと、歩道にある電柱の電線を見上げると、その電線もゆらゆら揺れていた。

とっさに、左にある路地に車を停車させ、急いで車から降りた。

この場所も幼少の頃に遊んでいた場所で、ひとまず安心した自分がいた。
しかし、その安心も束の間、今度は雨が降り出してきた。

ランチを食べに出かけたときに出くわした大雨のように…

だが、手のひらにこの雨を受けると、水のように”サラサラ”しているわけでなく、粘性のあるといっても水あめほどのものではなく、またゼリー状のものよりも柔らかいようにも思える。
また、その場所は傾斜地となっているため、この傾斜地に雨が流れ込んでくる可能性もあるため、道路の反対側へと小走りで、その向かい側にある家の軒先に身を交わした。

ここでまた不思議な現象が起きている。

いま、この雨宿りをしている家の軒先を見上げ、また道路に目線を移すと、なんと、生家の斜め前の家ではないかっ?

あれ、おかしい?
何故?

ここでは、車がないし、実際この場所から家に帰るにはと思案していたときに、嫌な予感がしてきた。

そう、今では絶縁状態となっている、かつての親戚の家から誰かが出てきたのだ。

やばい!
普段なら車でその道を通るであろう、いや絶対そうなるはずなのに今日はその車が無い。

仕方が無いので、全速力でその雨の中に飛び出し、坂道を走り出したのだが、そのかつての親戚の家から出てきた人はどうやら俺の存在に気づき後を追ってきた。

この粘性のある雨の中全速力で走ったのも手伝い、足は重く坂道を50Mくらい登ったところで、その道路上に倒れこんでしまった。

やばい!
やばい!

みられてしまった!

別に悪い事をしているわけでもないのに、何故かそう思う自分。
その時に、倒れこんでいる俺の背中にそっと手を乗せてきて、すっと抱きかかえてくれた人がいる。

一体誰なのだろうか?
記憶が薄れていく中、その背中にそっと手を乗せてくれた人は男性なのか女性なのかを考えていた。

しかし、その数秒後、記憶が戻っていく自分、周囲に目を凝らすと、自分のベッドの中に横になっていた。

「どうしたの?」
妻が心配して声を掛けてきた。

「ああ、俺が通っていた中学校があるじゃないか。」
「あの側の国道を走っていたら…」

今あった出来事を妻に話していた。

「それで…」

「誰かがそっと背中に優しく手を乗せてくれて…」
「暖かさを感じたと思ったらここに寝ていたんだよ。」

「その人が一体誰なのかもわからないんだけどな?」
と話した途端、側にあるTVの側から、「あたし」と、女性の声が聞こえてきた。

妻と自分以外いない、この寝室で、妻以外の女性の声が聞こえたのはとても恐怖である。

その後妻に話しかけようとしても、思うようには声が出なくなっていた。

「お父さん?」
「ねえ、お父さんうなされているけどどうしたの?」

そう、そこまではゆめの中の話で、うなされてたけどといった妻の言葉は現実の世界だった。

眠りから覚めた俺は、その夢の話を妻にしていた。

まだ、妻には話してはいなかったが、今年の2月から不思議な事ばかりが起こっていた。
その時には気づいていなかったが、今、この夢を見て、まさか?と感じ始めていた。

ふと時計を見ると、朝5時過ぎ。

「それでなあ。」

「・・・」
妻は俺が目覚めたので安心したのだろう、また眠りについたようだ。

タバコに火をつけて、その2月から起きはじめていた現象を思い起こしてみた。

それは遡る事、昨年の11月頃だった。
ある繁華街に家族と出かけていて、あるアパレル店の前を通ると、好みの若い女性店員とよく目が合っていた。
こちらは別に愛想をするわけでもなく、ただ効き目が左という事で、その左側にある店にどうしても目が行ってしまう、そんなものであった。

そして、その時にふとその女性店員の足元に目がいってしまっていたのである。

アパレル店に勤める店員であれば、その足元にもオシャレをと考えるのは俺だけであろうか?
その女性店員は、珍しくローファーな靴を好んでいたのだが、その日はピンヒールのパンプスを履いていたのである。

ん?
と、目を上げたときにその店員さんと、目があったのだが、失礼な態度をとったと思い直し、1人反省しながら、その場を通り過ぎた。

それからは、その場所を通る時には失礼な態度をとった後悔もあり、目線を変えて店内を見なくなっていた。
また、以前からこのお店でショッピングをしなかったわけではないが、何故かそのお店からは足が遠のいていた。

そして、今年の1月に入ってからの事だった、普段はプロパーで購入するのだが、何故か久しぶりにその店内に足を踏み入れたところバーゲンの真っ最中だった。

あっ! そうか!
もう春物の季節か…

それでバーゲンね…

そう感じながら、アイテムを選んでいたところ、いらっしゃいませと女性店員の声が聞こえてきた。

ふとその方向に目線を移すと、あの女性店員がこわばった表情でこちらを窺っていた。

ふとあの日の事を思い出しながら、またまた1人反省をしながら、こちらもその恥ずかしさのあまり、ちょっと笑顔が出てその応対に答えたのだが、妻も一緒にいたので、そそくさと買い物を済ませお店を後にした。

そして、その翌月、またそのお店にショッピングに出かけたのだが、何故か店員の少ないそのお店で、痛いほどの視線を感じたのだった。
確かにそのお店では、以前より視線を感じる事があった。
また、こういったアパレル店では柱などに大きなミラーが備え付けられていて、お客がその商品を身体の前面にあわせ色あわせ等を行うためと、もうひとつの理由として、万引きなどの抑止効果をも鑑みているのが普通だろう。

そういった視線を感じる事はあったのだが、その日はあたりを見渡しても、店員は視線に入ってこなかったのだが、ふとミラーに目線を移すと、その女性店員の姿がはっきりと映っていた。
一瞬”ドキッ!”としたが、その女性店員はこちらに視線を向けているわけでなく、ただひたすら手元の商品をせっせとたたんでいた。

しかし、その動作には不自然さもあり、仕事の熟練のためにこういったミラーに映った自分の手元をチェックしているのかも?とも思えたので、そのミラーに映らない場所へと移動して、ショッピングにいそしんでいた。

そうこの日を境に、この奇奇怪怪な現象が起こり始めていたのは、まだ気づく事すら無かったのである。

そして、その奇奇怪怪な事象の事の起こりはこんな事から始まった。

いつものように仕事を終え、妻と待ち合わせた場所からその繁華街にあるシネコンへと車を走らせていた。
免許を取得し、早くにその裏道を覚え、その繁華街を含めその方向へ行くにはいつもその道を通っていた。
その道すがら、対向車とすれ違いをするにもギリギリなため、ゆっくりと走っていたが、対面車のスピードがやけに早いなと感じられいつもより、左側に車を寄せた瞬間”ガツッ!”と大きな音と振動があった。

やられた…
ふと右のドアミラーを見るとその衝撃で折りたたまれた状態となっていた。
そして、車を停車して周りを点検したが、結局このドアミラーのみ疵がついていて、ほっと安心したのである。
実はこの瞬間にふと頭をよぎっていた事がある。
その気の緩みがこの結果と反省しながら、またシネコンへと車をスタートさせたのである。

車を駐車場にいれ、繁華街を通る時に、ふとあの女性店員のいるお店へ視線を移したが彼女はいなかった。
となると、あの裏道で横道へそれたのは彼女だったのだろうか?

そう、あの瞬間頭をよぎったのはその彼女なの?と思った時なのである。